ばば耳鼻科クリニック 院長の馬場奨です。
今回のコラムでは、近年存在が報告されたLAR(局所アレルギー性鼻炎)という疾患について解説できればと思います。
局所アレルギー性鼻炎とは?
慢性鼻炎の中には、皮膚テストや血液検査ではアレルギーが見つからず、特定の検査でアレルギー反応が出る人がいます。これを局所アレルギー性鼻炎(LAR)と呼びます。LARは、一般的なアレルギー性鼻炎(AR:通年性アレルギー性鼻炎・花粉症など)や非アレルギー性鼻炎(血管運動性鼻炎など)とは違う特別なタイプの鼻炎です。
LARの特徴やその治療について
LARの特徴は、皮膚や血液ではアレルギーが見つからないのに、鼻にアレルギー症状が出ることです。
若い女性に多いですが、年齢に関係なくアレルギーの症状があるけれど血液検査ではアレルギーが見つからない人は、LARかもしれません。
LARの診断は、特定の鼻のテスト(鼻腔アレルゲン誘発試験:2024年時点では正確に行うことができません)でアレルギー反応が出るかどうかをみます。また、血液や鼻水の検査(鼻汁中のIgEの測定など)も役に立ちます。
LARの治療は、アレルギー性鼻炎と同じで、アレルゲンを避けることや薬を使うことなど、アレルギー治療が効果的です。外科的治療がどれくらい効果があるかはまだよくわかっていませんが、鼻の中で起こる炎症ですので、手術で炎症を減らすことができるかもしれません。手術によって鼻の粘膜の下を処理することで、血管や腺が新しく作られにくくなるためLARの治療方法の一つになるかもしれません。
文責
ばば耳鼻科クリニック 院長 馬場奨
- ・医学博士
- ・日本耳鼻咽喉科学会 専門医
- ・日本アレルギー学会 専門医
- ・厚生労働省 補聴器適合判定医
- ・難病指定医
2020年9月にばば耳鼻科クリニックを開院。耳や鼻の日帰り手術の診療に力を入れ、可能な限りの完治をめざした治療に取り組んでいる。また、常に患者の立場になり、各所にモニターを設置して「医療の見える化」を行っているほか、利便性の向上や診療の質を高めることにも注力している。