耳管開放症は、正常では嚥下やあくびの時のみ開く耳管が、開きっぱなしの状態となり症状が出る現象です。特に、急激な体重減少、妊娠、疲労などが関連しており、女性に多く見られる病気です。今回のコラムでは、その原因、耳管の説明、症状、治療法、予防について詳しく解説します。
耳管開放症の「耳管」とは?
耳管は、中耳と咽頭をつなぐ細い管で、通常は閉じていて嚥下やあくびをするときに開きます。この開閉により、中耳と外気圧のバランスを保ちます。耳管が常に開いている状態が続くと、耳管開放症の症状が現れることがあります。
耳管開放症が起こる原因として考えられるもの
耳管開放症の主な原因は以下の通りです。
急激な体重減少
大病を患ったり、無理なダイエットをすることで体重が急激に減少すると、耳管開放症が発生することが一般的です。
女性の体調変化
妊娠や疲労、長時間の立位などが原因となり、特に症状が出現しやすくなります。
顎関節症やストレス
これらも耳管開放症を引き起こすことがあります。
耳管開放症の主な症状
耳管開放症の症状は個人差がありますが、自分の声の反響や自分の呼吸の音が過剰に大きく聞こえる、耳の閉塞感などが挙げられます。
耳管開放症の治療法
耳管開放症の治療は原因に応じて異なります。体重管理や、ストレスの軽減などライフスタイルの見直しを中心に行われることが多いです。
難治性の場合は手術を検討します。
なお、当院では2020年12月に保険の適用が認められた「耳管ピン」を使用した手術を行っています。
まとめ
耳管開放症は女性に多く、急激な体重減少や日常生活のストレスなどが主な原因となります。この病気の理解と適切なケアによって、症状の改善が期待できます。健康な耳を保つために、日々のケアと必要に応じた医師の診察を心がけましょう。
★★耳管開放症の手術など、よく詳しい解説はこちらへ(当院症状解説ページに移動します)★★
文責
ばば耳鼻科クリニック 院長 馬場奨
- ・医学博士
- ・日本耳鼻咽喉科学会 専門医
- ・日本アレルギー学会 専門医
- ・厚生労働省 補聴器適合判定医
- ・難病指定医
2020年9月にばば耳鼻科クリニックを開院。耳や鼻の日帰り手術の診療に力を入れ、可能な限りの完治をめざした治療に取り組んでいる。また、常に患者の立場になり、各所にモニターを設置して「医療の見える化」を行っているほか、利便性の向上や診療の質を高めることにも注力している。