ばば耳鼻科クリニック 院長の馬場奨です。
今回のコラムでは、タイトルの通り、
「痛み・苦痛の少ない」日帰り手術
に向けた取り組みをご紹介できればと思います。
耳鼻科における日帰り手術は、人生でそう何度も経験することはなく、手術を受けられた患者さんにもなかなか気づきにくい工夫ですので、今回のコラムでまとめさせていただきました。
もちろん、誰しも、手術を受ける際は痛み・苦痛は少ないほうが良いと思います。
ばば耳鼻科クリニックが開院して3年が経過し、多くの症例をこなした当院における工夫を改めてご紹介させていただきます。
取り組み①鼻のガーゼを少なくしています
鼻の手術を行った後は、出血防止のためにガーゼを挿入します。
もちろん、これは必要な処置なのですが、一方で、このガーゼを鼻の中にパンパンに詰めてしまうと、術後にガーゼを抜くときに大きな痛みを伴います。
当院の患者さんでも、多くの方がこの、”鼻から詰め物を抜く瞬間”に痛みを感じておられます。
そこで、止血に必要な分を見極めたうえで、鼻の中に挿入する止血ガーゼをなるべく詰めすぎないよう、工夫をさせていただいています。
取り組み②鼻のガーゼに呼吸を補助するチューブを挿入しています
①と関連して、鼻の手術後にガーゼを詰める際は、空気の通り道を確保し、呼吸をしやすくなるように、ガーゼと一緒にチューブを挿入しています。
鼻の詰まりで悩んでいたのに、術後は鼻詰まりがすぐ治らない…
もちろん、これは正常な状態で、術後1週間~2週間目から、鼻詰まりは改善してくるのですが、その間の状態の苦痛を少しでも和らげることができればと思います。
取り組み③鼻の詰め物は翌日に抜くようにしております。
特殊な状況がない限り鼻の詰め物は全て翌日に抜去できるように、止血を行っております。
ガーゼが入っている限り、頭が重い、鼻づまり、飲み込みにくい、などの症状が強いため、早めにガーゼの抜去ができるように意識しております。
止血技術を工夫し、数日間かけて抜去していた頃より出血率は低下しています。
取り組み④手術中の痛みも気づきにくいような鎮静技術
手術は局所麻酔を用いて行いますが、鎮痛剤の鼻内麻酔を適切に使い痛みがでないようにすることを基本に、眠たくなる鎮静麻酔についても工夫しております。
手術中の呼吸モニターとして、Masimo社の「RRa®(アコースティック呼吸数)」モニタリングを導入しております。耳鼻科クリニックでの手術で導入している医院は多くはないかと思いますが、このモニタリングがあることで、呼吸の状態がリアルタイムにわかることで、鎮静麻酔の強度の調節を行うことが可能です。
★★当院の日帰り手術の詳しい解説はこちらへ(当院別ページに移動します)★★
文責
ばば耳鼻科クリニック 院長 馬場奨
- ・医学博士
- ・日本耳鼻咽喉科学会 専門医
- ・日本アレルギー学会 専門医
- ・厚生労働省 補聴器適合判定医
- ・難病指定医
2020年9月にばば耳鼻科クリニックを開院。耳や鼻の日帰り手術の診療に力を入れ、可能な限りの完治をめざした治療に取り組んでいる。また、常に患者の立場になり、各所にモニターを設置して「医療の見える化」を行っているほか、利便性の向上や診療の質を高めることにも注力している。