今回の記事では、当院によく受診いただく耳管開放症の患者様の特徴をもとに、自分で簡単に行なえる耳管開放症のチェック項目をいくつかお届けします。
ただし、これらの項目はあくまで参考となり、正確な診断には耳鼻咽喉科での検査が必要です。
まずはじめに:耳管開放症の症状とは
耳管開放症は、通常は閉じている耳の通路、つまり「耳管」が開きっぱなしの状態となる病態を指します。このため、患者さんは自分の呼吸音が過剰に大きく聞こえたり、さらには話す声を響きとして感じることがあります。
また、耳鳴りや遠くの音が聞こえにくいなどの症状も伴います。
耳管開放症のセルフチェック項目4選
※あくまで参考となり、これらのチェック項目だけで診断を下すことはありません。
症状が出たときに寝転がる、前屈してみる
耳管開放症の症状は体の姿勢や角度によって変わることがあります。特に立っている状態から寝転がったり、前屈みになることで、症状が和らぐ場合は耳管開放症の可能性が高まります。
首を押さえてみる
耳管やその周辺の筋肉は、首や顔の一部と連動しています。首の一部を軽く押さえることで症状が和らぐ場合、これも耳管開放症の兆候と言えるでしょう。
症状が気になる時間を振り返る
耳管開放症の症状は24時間、一日中継続するものではありません。日常生活の中で、特定の時間帯やシチュエーションで症状が出たり、和らいだりすることはないか注目しましょう。
鼻をすすって症状が和らぐ
鼻をすする行為により一時的に症状が和らぐことがあるのも耳管開放症の特徴です。 ただし、鼻をすする行為自体は症状を一時的に誤魔化すだけであり、根本的な治療にはつながりません。むしろ、鼻を強くすする行為は耳管への負担となり、症状の悪化を招く恐れがあるのでご注意ください。
まとめ
これらのセルフチェック項目はあくまで参考の一つとして捉え、自分が耳管開放症かどうかの結論を下すものではありません。もし症状が継続的に見られる場合や、強い不快感を感じる場合は、早めの耳鼻咽喉科の診察をおすすめします。
★★耳管開放症の手術など、よく詳しい解説はこちらへ(当院症状解説ページに移動します)★★
文責
ばば耳鼻科クリニック 院長 馬場奨
- ・医学博士
- ・日本耳鼻咽喉科学会 専門医
- ・日本アレルギー学会 専門医
- ・厚生労働省 補聴器適合判定医
- ・難病指定医
2020年9月にばば耳鼻科クリニックを開院。耳や鼻の日帰り手術の診療に力を入れ、可能な限りの完治をめざした治療に取り組んでいる。また、常に患者の立場になり、各所にモニターを設置して「医療の見える化」を行っているほか、利便性の向上や診療の質を高めることにも注力している。