耳管開放症は、耳と鼻の奥をつなぐ耳管が開きっぱなしになってしまう病気で、自分の声が響く、呼吸の音が耳に響く、耳がふさがった感じがするなどの症状が出現します。多くの治療法が存在する中で、漢方も治療のアプローチの1つとなります。
ちなみに、耳管開放症の主な症状は下記の通りです。
・自分の声が響く
・呼吸の音が耳に響く
・耳がふさがった感じがする
漢方治療の特徴とは?
耳管開放症の患者さんの中には、西洋医学だけでなく、漢方による自然治療に興味を持つ方も多いです。漢方は体質や症状に合わせて個々に最適化された処方が特徴で、体全体のバランスを整え、自己治癒力を高めることを目指します。
耳管開放症に効果的な漢方薬
耳管開放症の症状に対しては、体の内部から改善するアプローチが求められます。特に、以下の漢方薬が耳管開放症の症状の改善が期待できます。
加味帰脾湯(かみきひとう)
主に精神の安定、ストレスを和らげる効果があります。ストレスは耳管開放症の原因のひとつですので、その原因へアプローチしていきます。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
加味帰脾湯で効果がない場合に変更します。主に食欲増進や元気になるような効果があります。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
上記でも効果がない場合に追加します。体を温め、全体の機能低下の改善すなわち抗老化の効果があります。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
ストレスや神経の緊張を和らげ、耳管の開きすぎを抑える助けとなる場合があります。
注意点
漢方薬は副作用が少ないとされていますが、体質や持病、アレルギーによっては反応が異なる場合があるため、専門の漢方医に相談し、個々の状態と症状に適したものを選ぶことが大切です。
最後に
耳管開放症と漢方の関係という文脈でお伝えすると、漢方は自然治癒力を高め、身体のバランスを整えながら、症状を緩和する可能性があります。ただし、漢方治療という特性上、劇的に症状が、すぐに改善する可能性は逆に低いといえます。
症状の進行度や、生活での支障も鑑み、手術治療という選択肢も考えられますので、まずは耳鼻咽喉科でのご相談をオススメします。
★★耳管開放症の手術など、よく詳しい解説はこちらへ(当院症状解説ページに移動します)★★
文責
ばば耳鼻科クリニック 院長 馬場奨
- ・医学博士
- ・日本耳鼻咽喉科学会 専門医
- ・日本アレルギー学会 専門医
- ・厚生労働省 補聴器適合判定医
- ・難病指定医
2020年9月にばば耳鼻科クリニックを開院。耳や鼻の日帰り手術の診療に力を入れ、可能な限りの完治をめざした治療に取り組んでいる。また、常に患者の立場になり、各所にモニターを設置して「医療の見える化」を行っているほか、利便性の向上や診療の質を高めることにも注力している。