耳管開放症とは、のどと耳の中をつなぐ耳管が開きっぱなしになる現象です。
この状態が続くと、さまざまな症状が出ることがあります。耳管開放症の症状は何なのか、どういった対処が必要なのか、詳しく解説します。
耳管開放症の症状:発症すると、どう感じるのでしょうか?
耳管開放症の症状は、個人により異なることがありますが、以下のような特徴があります。
自分の声の反響
話すと自分の声が耳に響く感じがすることが一般的です(自声強聴)。
呼吸の音が聞こえる
自分の呼吸の音が過剰に大きく聞こえます。
耳閉感
耳が詰まった感じがします。
耳鳴り
耳の中で鳴り響くような音が聞こえることがあります。
嚥下(飲み込む)時のポップ音
飲み物や食べ物を飲み込むときに耳の中でポップ音がすることがあります。
これらの症状のために、他人の会話が聞きにくい、自分の声の大きさが調整しにくい、会話をしたくない、などつらくなることも多いです。寝転がっている間だけ症状が消えたり良くなる特徴もあります。
症状が出る時期:どのような時に、症状を特に感じるのでしょうか?
耳管開放症の症状は、以下のような状況で特に感じやすくなることがあります。
体重減少
ダイエットや病気などにより体重が減った時に症状が出やすくなります。
妊娠中
体の変化によって耳管の働きが影響を受けることがあるため、症状が出やすくなります。
立位が長い時
立ち仕事など、長時間立つ状況では症状を強く感じることがあります。
症状の対処法:どうすれば改善するでしょうか?
耳管開放症の症状に対して、以下のような対処法が効果的です。
適切な診断と治療
まずは、耳鼻咽喉科医による診断と治療が基本です。
生活習慣の見直し
立ち仕事が長くなる時は座ったり寝転んだりする時間を定期的に作る、水分をよく摂る、ストレスの軽減、体重を増やす、バランスの良い食生活など、日常生活の見直しも重要です。
手術
難治性の場合は手術を検討します。なお、当院では2020年12月に保険の適用された「耳管ピン」を使用した手術を行っています。
まとめ
耳管開放症の症状は、自分の声の反響や自分の呼吸の音が過剰に大きく聞こえるなど、耳の不快感として現れることが一般的です。これらの症状がある場合、耳鼻咽喉科医の診察が必要です。日常生活での適切なケアも忘れずに、健康な耳の状態を保ちましょう。
★★耳管開放症の手術など、よく詳しい解説はこちらへ(当院症状解説ページに移動します)★★
文責
ばば耳鼻科クリニック 院長 馬場奨
- ・医学博士
- ・日本耳鼻咽喉科学会 専門医
- ・日本アレルギー学会 専門医
- ・厚生労働省 補聴器適合判定医
- ・難病指定医
2020年9月にばば耳鼻科クリニックを開院。耳や鼻の日帰り手術の診療に力を入れ、可能な限りの完治をめざした治療に取り組んでいる。また、常に患者の立場になり、各所にモニターを設置して「医療の見える化」を行っているほか、利便性の向上や診療の質を高めることにも注力している。